アートトラックが装着しているパーツは
どれも大変個性的で、オリジナリティに富んでいます。
現在飾りは大別してレトロ系、モダンレトロ系、
スーパーアートの3種類に分かれています。
もともとデコトラの歴史はレトロ系からモダンへ、
そしてスーパーアートへと進化してきたため
なんとなく順番に見ていくと、その進化の軌跡を
感じとることができたりします。
では一番最初のレトロ系とも呼ばれるトラックに
装着されているパーツ類はどのように生まれたのでしょうか。
もちろん実用性を考慮した上で、
機能性を追求して生まれたものもあります。
ですが、ほかのジャンルのクルマから流用することに
起源をもつパーツもたくさんあるのです。
その代表的なものがバスからのパーツ流用です。
特に豪華さを競う観光バスは、アートトラックとの
相性も抜群で、多くのパーツが転用されました。
現在でも、パーツ名にバスが付いているなど
名残があったりします。
【バスマーカー】
その名のとおり、もともとバス用のマーカーとして
製造されており、主に車高灯として装着されていたものです。
山型の高さのあるフォルムで、先端は丸みを帯びていて
根元にレンズをとめるための帯鉄バンドが装着されているのが特徴です。
【バスロケット】
もともとは1971年にはとバスからデビューした
観光バスの“スーパーバス”が元ネタとされています。
クーラーのダクトを車外に配置するための機能性パーツでしたが、
その見た目のスタイリッシュさから多くのバス会社がフォローし、
トラックにも広まっていったと言われています。
【バスバンパー】
川重バンパー、オバQバンパーとも呼ばれるフロントバンパーで、
川崎重工のグループ会社である川崎航空機工業が製作したボディの
バスに装着されていました。正面から見た図が
オバケのQ太郎の主人公であるQ太郎に見えることから
オバQバンパーと称されます。
【バスマーク】
現在ではトラックのフロントパネル回りに装着されることが
多いバスマークも、その名のとおりバスに装着されていました。
ほかのパーツと違うのは、ユーザーが飾りとして転用したのではなく
トラックにも60年代後半にはメーカー純正として
ウイングマークやふそうマークなどが装着されていたことでしょうか。
【バスライト】
ヘッドライトスワップはアート車でもメジャーな飾りです。
バスライトは、バスマニア層には「オーバルライト」と呼ばれ
1960年代後半以降製造されていた日野RE系バスに
装着されていたものです。映画トラック野郎当時には
すでにトラックにオーバルライトを装着したクルマが存在していました。
【シャンデリア】
内装に欠かせないシャンデリアは、
もともと豪華さを競っていた観光バスに装着されたものを
トラックに流用したのが始まりです。
とくに観光バス業界でも風雲児と言われた「中央観光バス」に
装着されていたゴールドキング製シャンデリアなどは
今でも当時ものとしてプレミア価格がつくことも珍しくありません。
【国鉄バスミラー】
もともと旧国鉄バスに使用されていたサイドミラーで、
国鉄バスミラーや五光ミラーと呼ばれていました。
フォルムとしては薄型で、レトロな雰囲気が漂います。
これらが代表的なバスからの転用パーツです。
みなさんもどこかで装着車に出合ったり、
ショップに並んでいるのを見たことがあるかもしれません。
ほかにもこまごまとしたものが転用されていたりしますので
探してみるのも一興ですよ。