大型トラックといっても、その種類はさまざまです。鳥のように優雅に羽を広げた大型トラックや、エレベーターつき、冷蔵庫つきのものなど、一風変わったものもあります。今回はその種類をまとめました。
大型トラックの定義
そもそも小型、中型、大型トラックとはどのように種類分けされているのでしょうか。実はその分け方はひと通りでありません。
道路運送車両の保安基準による分類
運輸省の道路運送車両法で規定されるところの、いわば法律上の定義は以下のとおりです。このほかにもサイズによる規定はあります。
- 大型トラック…最大積載量5トン以上または車両総重量8トン以上
- 小型トラック…最大積載量2トン以上3トン以下、かつ総排気量2000㏄以下
- 中型トラック…大型・小型に該当しないもの
トラック業界の任意による分類
トラックメーカーが独自の定義で種類分けしたものです。どちらかといえば概念的なもので、メーカーによっても詳細は異なります。
- 大型トラック…標準積載量5トン以上
- 中型トラック…同4トン以上5トン未満
- 小型トラック…同2トン以上4トン未満
大型トラックの種類
大型トラックはシャシーから上のボディ(荷積み部分)の形状によって種類分けされています。
平ボディ
もっとも一般的な種類の大型トラックです。荷台がフラット(平ら)な形状で、荷物の運搬に汎用的に使われます。そのままでは雨ざらしの状態ですので、雨天時などは幌をかぶせなければなりません。
ダンプ
形状は平ボディと同じですが、荷台には傾斜機能が付いていて、土砂やがれきの運搬に使われる種類です。
バンボディ
荷台が箱で覆われた、いわゆる「箱車」といわれる種類のトラックです。箱は多くがアルミ製のため、「アルミバン」とも呼ばれることも。荷物の積み下ろしが後方ハッチからのみとなりますが、運搬中の安定性や防雨性の面に優れています。ハッチは施錠もできるため防犯の面でも安心です。多くの場合、内部の側面には荷締め用具(ラッシングベルト、ショーリングバー)を固定するためのレールが付いています。
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ウィングボディ
ふだんはバンボディと同じに見えますが、荷物の積み下ろしの際には屋根のセンターを軸にして両サイドが上に開きます。側面から荷物を積み込めるため、縦に長い荷物の収納が楽に行え、奥(先頭)の方から隙間なく積み込むこともできます。
開いた扉の形状が鳥の羽を広げたようなことから「ウィング」の名が付いていますが、もともとはメルセデスのレーシングカーに採用された「ガル(=カモメ)ウィング」が起源。この種類はサイドがすべて開放できるため、展示会などのイベントで小ステージとして使われることもあります。
冷凍車・冷蔵車・保冷車
庫内を冷蔵、冷凍する機能があり、外部の熱をシャットアウトするために荷台(バン)は断熱構造となっています。いわば巨大な冷凍・冷蔵庫を搭載したトラックです。やはり一番の用途は生鮮食料品の運搬でしょう。
保冷車
冷蔵車と同様にボディは断熱構造となっていますが、冷凍・冷蔵機能がありません。冷蔵品の短時間の運送がおもな用途です。
パワーゲート車
荷台の最後部に荷物用の昇降機が付いた種類のトラックです。大柄トラックともなると荷台も1メートルを超えるものも多く、油圧カートによる積み荷にも限界があるため、代わりに昇降機がエレベーターのような役割を果たします。昇降機は普段は垂直に立って後部ハッチと重なった状態ですが、荷物の上げ下ろしの際は90度倒れて水平状態に倒れてきます。
大型でも小型でも貨物堂におまかせを
大型トラックや小型トラックなどは、実際は境界がはっきりしないことが分かりました。ただ、どの分類においても5トン以上を大型トラックとすることには変わりなく、小型・中型ともに普通免許で運転できることから、実用面では問題ないといえるでしょう。貨物堂では小型から大型トラックまで、あらゆる種類のトラックに対応できるよう、これからもトラック用品のラインアップを充実させていきます。