トラック仕事は運転時間が大半を占めるためか、安全靴はあまり使われていないようです。しかし、慣れた運転席から一歩外に出ると、予期せぬ危険が待ち受けていることも。安全靴は身を守るための必需品です。
安全基準を満たしていないものもある?
一般に安全靴というと、先端がスチールなどでガードされているものをイメージされます。日本工業規格(JIS)においても「つま先を先芯によって保護し、すべり止めを備える靴」と定義されています。しかし、そのような機能を備えた靴はすべてが安全靴というわけではありません。
基準をクリアした安全靴の見分け方
本来の安全靴とは、先芯や底の強度がJIS規格(JIS T 8101)に適合したものだけを称し、それらの本体(靴底)にはJISマークが刻印されています。具体的には、先芯は鋼鉄や強化樹脂でカバーされ、靴底も踏み抜き強度があり、滑り止めの機能を備えていなくてはなりません。素材も牛革か総ゴム製のどちらかです。
さらに、JISでは使用目的に応じて重作業用(記号H)、普通作業用(記号S)、軽作業用(記号L)の3種類に分類。トラック関係以外では、電気を扱う現場用として、体内にたまった静電気を放電する性能を持った「静電安全靴」もあります。
JIS基準適合品
安全靴ほど厳格な規定ではないものの、先芯部分についてはJISの基準をクリアしている靴については、便宜上「安全靴」や「安全スニーカー」と称して販売されますが、これらについては「JIS規格 ○級相当」と表記されています。
不明確な安全靴の着用基準
このように安全靴自体は厳密な規格のもとで製造されてはいますが、その着用が義務付けられている作業環境については、実のところ明確な定義はありません。労働安全衛生規則の第558条では「事業者は、作業中の労働者に、道路等の構造又は当該作業の状態に応じて、安全靴又はその他の適当な履物を定め、当該履物を使用させなければならない。」とされています。
ここでは「…の状況に応じて」とあるだけで、「どういった環境」で、「どういった種類の作業」がそれに該当するのかについては明確ではありません。トラックの作業においても、荷物に触れるところはすべてそうともいえるでしょう。
大事なことは万が一を考えること
安全靴が必要かどうかの境界線が曖昧である以上、「自分の身は自分で守る」という考えが必要です。過去には、安全靴を履かずにケガをしたため、労災の対象とならなかったというケースもあります。トラックの現場ともなると、いくら自分で気を付けていても、どうしても避けられない不可抗力というものもあります。
「備えあれば憂いなし」というように、荷物の積み下ろしなどの際は、必ず安全靴を履くように心がけておきましょう。
運転中は快適第一に
安全靴の着用が大事とはいえ、四六時中安全靴を着用しているというのも現実的ではありません。トラックの長距離運転は、ただでさえ足がむくみやすい環境にあるもの。事故予防の安全靴も、運転中はかえって弊害になりかねません。足の蒸れを防止するためにも、ペダル操作に支障がない限りにおいて、スニーカーなどできるだけ軽装な状態にするのがおすすめです。作業前に安全靴に履き替える習慣を心がけましょう。
安全靴を習慣にしましょう
運転席まわりは自分の思うとおりに快適な環境に整えることができても、トラックの外ではそうはいきません。荷物の積み下ろしにつきものの重量物の落下のほか、台車のタイヤに足先をひかれる、足場の悪い状態で釘を踏み抜くなど、足にまつわる危険がいっぱいです。こういうものは習慣づけることが一番です。
貨物堂では、用途に合わせたさまざまな安全靴をご用意しております。まずは自分の作業内容にあった安全靴を選んでみてはいかがでしょうか?